制作実績は公開してよいのか|ポートフォリオで起きる知的財産のズレ
フリーランスや制作会社では、
過去の制作物をポートフォリオとして公開することがあります。
- 自社サイトに掲載する
- 営業資料として使用する
- SNSで紹介する
こうした実績公開は一般的ですが、実務では
- 公開を止められる
- クレームになる
- トラブルに発展する
といったケースも見られます。
一見すると、
- 自分が作ったものだから公開できる
と考えがちですが、
契約によってはそうならない場合があります。
1.ポートフォリオ公開は著作権だけでは判断できない
実績公開については、
- 著作権がどちらにあるか
がまず問題になります。
この点については
→「成果物の著作権は誰のものか」で整理できますが、
それだけでは十分ではありません。
実務では、
- 著作権があっても公開できない
- 譲渡していても公開できる場合がある
といったケースが存在します。
つまり、
公開できるかどうかは、著作権だけでは判断できない
という構造になっています。
2.「実績公開」でのトラブル
実績公開に関する問題は、次のような形で現れます。
- クライアントから掲載の削除を求められる
- 非公開前提だったと指摘される
- NDA違反を疑われる
- 成果物の利用範囲を超えていると判断される
これらは単純な著作権の問題ではなく、
- 利用条件
- 契約の前提
- 情報の扱い
が関係する複合的な問題です。
3.なぜこの問題が起きるのか
この問題の背景には、契約の構造があります。
- 著作権の帰属
- 利用範囲
- 秘密保持(NDA)
- 再利用の前提
これらが別々に定められているため、
- 著作権としては問題がない
- しかし契約上は公開できない
というズレが生じます。
この点は、
→「著作権は移転したはずなのに使えない理由」で整理した
“権利と利用のズレ”と同じ構造です。
4.NDAや再利用との関係
実績公開で見落とされやすいのは、次の点です。
- NDAにより情報公開が制限されている
- 再利用と同様に利用範囲の問題として扱われる
- 契約前提として非公開が想定されている
特に、
→「NDAがあれば成果物は守られるのか」で整理したように、
秘密情報と成果物は別の問題として扱われます。
また、
→「制作物の再利用はどこまでできるのか」で整理したように、
実績公開も利用の一形態として判断されます。
5.公開前提を契約全体で整理する
一般的には、実績公開は
- 制作した側の自由
と考えられがちです。
しかし実務では、
- どの範囲で公開できるのか
- どの情報が含まれているのか
- 契約上どのように扱われているのか
によって判断が変わります。
そのため、判断の際は
- 著作権の帰属
- 利用範囲
- NDAの適用範囲
- 実際の公開内容
を合わせて整理する必要があります。
6.まとめ
制作実績の公開は、著作権だけで判断できるものではありません。
利用範囲やNDAとの関係によって、
公開できるかどうかが変わる可能性があります。
そのため、契約全体の構造として、
公開前提がどのように整理されているかを確認することが重要です。
※実績公開の前提を整理できていますか
ポートフォリオの公開は、
営業や実績の蓄積において重要な要素です。
しかし、
- 契約上の利用範囲
- NDAとの関係
- 公開内容の範囲
が整理されていない場合、
後からトラブルになる可能性があります。
契約全体の構造として、
どのような前提になっているのかを確認することが重要です。
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