マスターリース契約のリスク|契約構造で見る注意点
不動産の管理において、
マスターリース契約(いわゆるサブリース契約)という形を採用しているケースがあります。
一見すると、
「賃料が安定する仕組み」
としてメリットが強調されることが多い契約ですが、
実際には契約構造によってリスクの内容が大きく変わる契約です。
この記事では、マスターリース契約を
契約構造の観点から整理します。
1.マスターリース契約とは何か
マスターリース契約とは、
事業者が物件を一括で借り上げ、第三者に転貸する契約
です。
つまり、
・オーナー → 事業者(借上)
・事業者 → 入居者(転貸)
二重の契約構造になっています。
2.なぜ契約構造が問題となるか
マスターリース契約では、
契約と実態が分かれる構造になります。
・オーナーの相手は借上会社
・実際の入居者とは直接契約していない
この構造により、
収益・責任・条件変更の問題が生じます。
3.マスターリースで起きるリスク
マスターリース契約では、次のような点が問題になります。
① 収益構造の固定化
契約によっては、
賃料が一定期間固定される場合があります。
一見すると安定しているように見えますが、
市場の変化に対応できない可能性があります。
② 条件変更の問題
契約内容によっては、
将来的な条件変更が可能となっている場合があります。
例えば、
・賃料の見直し
・契約条件の変更
想定していた収益が維持できない可能性があります。
③ 責任の分離
マスターリースでは、
実際の管理と契約上の関係が分かれます。
・入居者対応は事業者
・オーナーは直接関与しない
問題が発生した場合に、
どこまで責任が及ぶのかが分かりにくくなります。
4.他の条文との関係
マスターリース契約は、
単体ではなく複数の契約と組み合わさることが一般的です。
①PM契約との関係
運営管理は、
別途PM契約で行われることがあります。
→PM契約の構造を整理した記事はこちら
②FM契約との関係
設備管理については、
FM契約として分離されることがあります。
→FM契約の注意点を整理した記事はこちら
③再委託との関係
実務では、
さらに再委託が行われることもあります。
→再委託条項のリスクを整理した記事はこちら
5.契約をどのように見るべきか
マスターリース契約では、
契約単体ではなく、
全体の構造として把握することが重要です。
・誰と契約しているのか
・誰が実際に業務を行っているのか
・どこまで責任があるのか
全体として整理する必要があります。
→契約書は条文単体で読んではいけない理由はこちら
6.まとめ
マスターリース契約は、
安定した仕組みに見える一方で、
・収益構造
・条件変更
・責任の分離
といった点で、
契約構造によるリスクが生じる契約です。
そのため、
契約単体ではなく構造として整理することが重要です。
※契約構造を整理したい方へ
マスターリース契約のように、
複数の契約が関係する場合は、
契約全体の関係を整理することが重要です。
当サービスでは、
・契約構造の整理
・責任範囲の整理
・実務との関係の整理
を行い、判断材料として提供しています。
→契約書リスク診断の詳細はこちら
→マスターリース契約のように多層構造となる
契約のリスクを整理した記事はこちら

